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「かばんにいっぱい」と「ポートレートオブポッポ 」

「かばんにいっぱい」の話

 

 昨年の9月にBGMさまからご依頼があり、新作ゲームのアートワークをお引き受けすることになりました。A&R GAMESという新レーベルの第一弾となる作品という事でした。ゲームデザインは上杉真人さん。(最近では「ボルカルス」などで知られていると思いますが、ぼくら兄弟にとっては「ダンジョンオブマンダムエイト」でおなじみの上杉さんです。)

 絵本のようなボードゲームがコンセプトで、「『大熊山』のような絵を」とのことでしたが、今回ははりきって、動物の毛並みなど『大熊山』の時よりも細かく描き込みました。作中に登場する植物もリアルです。特に「目標タイル」の背景に描いた「花」「果物」「クローバー」「どんぐり」の4つがお気に入りです。

 

 表紙には、リスやヤマネといった小動物からクマのような大型の動物までまとめて描く必要がありました。それらを同じ画角に収めると小動物がすごく小さくなるか、クマが絵からはみ出してしまいます。ゲームの内容から言って、みんなが地面の上に立っているところがいいし、全身が画面に収まっているほうがいいのです。悩んだ結果、小動物を手前に、クマを奥に配置して遠近法を使い、さらに手前の落ち葉と背景の木立をぼかすことで距離感を出して大きさの違いを表現することにしました。落ち葉はCGの加工で、木立は手描きでぼかし、一眼レフのカメラのような効果に挑戦しています。

 

 1月にはタイトルが「かばんにいっぱい」で正式に決定。BGMの専務さんとMarshaさん(ゲームのディレクション担当)が激論の末決めたそうですが、絵本らしさがあり、内容もうまく伝わるいいタイトルだなあと思いました。

 

 依頼を受けてから1年後の2021年9月に全イラストの制作終了。現在は鋭意印刷中とのことです。2021年秋のゲームマーケットで公開予定。楽しみです。

 

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「ポートレートオブポッポ」の話

 

 「かばんにいっぱい」の仕事が終わったタイミングで、東京なかよしさんの作る新作ゲームのイラストも担当することになりました。「鳩のイラストですがいけそうですか?」と弟に連絡があり、なぜか弟が「得意分野です」と返信し、そこから沢山の鳩を描くことになりました。けっこう楽しかったです。

 こちらはカード枚数がそんなに多くないこともあり(といっても34枚ありますが)、全カードを違う絵柄(オールユニーク)にすることに。『トレンド』や『大熊山』もオールユニークですが、やっぱりオールユニークっていいなと個人的に思っています。カードを見るだけでも楽しいなと思ってもらいたいです。

 鳩の一生がモチーフになっているこの作品、内容もユニークですよね。絵は描きましたがまだ遊んでいないので、実物を手に取るのが楽しみです。こちらも2021年秋のゲームマーケットで公開です。

 

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 アートワークのみを担当するのは、難しさもありましたが、終わってみれば良い経験でした。後悔の無いように全力を注ぎ込んだつもりです。

 STUDIO U×Fは今回のゲームマーケットには出展しませんが、こうして2つの新作に関われてうれしい限りです。